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柿の葉の 遠く散り来ぬ 蕎麦畑 蕪村
新そばの季節です。
一番下の娘がある朝、寝坊して六甲アイランド高校まで送る羽目になった帰り、東灘区の同業者の店に立ち寄った時に教えて貰った美味い蕎麦屋にて
そば屋のカウンターでざるそばを食べていたら突然店主が、隣席の初老の女性客に「おばちゃん、あんな・・」とあきれ顔で声をかけた
横を向くと、客は箸を持つ手を高く伸ばして、長くのびたそばを口に運ぶのに苦労していた。そばが切れず、くっついたまま手と一緒にのびています。
店主は言う。「上から少しずつ取れるようにそばを盛っているねん。おばちゃんみたいに、わざわざ下からかき回したらそばが全部くっついて、どんなに手を高く上げても口には入らへんで」
さらに「ほらこちらのお客さんみたいに上から少しずつ取れば、サラサラと口に入るようにしてあんねんから-」と、こちらに目を向けながら小言。
もっと話し方に気をつければ、客も素直に聞けるだろうにと思いながら、こんな店主に限って「そばはすするのではなく手繰ると言う」とでも言われそう。
その道を知らぬ者を狭量な経験主義から見下す物言い。
昭和の職人には多く見られましたが、かつて職人だった私が最も苦手とする人種です。
この者、蕎麦の盛り方は知れど、言葉の盛り方は知らぬよう。
蕎麦は上からだと掬い取りやすいが、人の気持ちは上からだと掬い取りにくい。
せっかくの美味い蕎麦もその味にいささか影が差し込みました。
恐らくこの近辺の方々はその名を出せば誰もが知っているこの店の名は言わずにおきます。